絵のない絵本


作/じゅにあっぱ

「おおきなとりのはなし」

びょういんの ベッドのうえの 
ぼくのまどから みえるもの

とおくのおやま
ちいさいそら
きのえだとかぜのかいわ
ことり
からす
かたちのないくも

ことりと からすは なかがわるいみたいだ。
いっしょにあそぶことはない。
からすは いつも とおくを みてる。
ことりは いつも ちかくを みてる。
それじゃあ、いっしょに あそべやしない。

あるひ、ぼくのまどに おおきなとりが
やってきたよ。

ぼくを じっとみてるんだ。
ぼくのことが わかるのかな。

ぼくは きみのことが きにいったよって
つたえたかったけど、

さて、さて。どうしたらつたわるだろう?
ぼくは、とりごは はなせないし。

ぼくが ちょっと にっこりすると、
おおきなとりは、その おおきなはねを
ばたり、ばたりと うごかした。

おおきなとりのあしには あかいものが
べっとり ついていた。

ああ、あしをけがしているんだね。
だから、ここで やすんで いるんだね。
もしかしたら もう とべないの?

おおきなとりは じっと ぼくを
みてるようだった。

ぼくは ちょっと こわくなって
ぼくの うごかない あしに しせんを
うつした。

そして きがつくと おおきな とりは
いなくなっていた。

もしかしたら とべなくなった おおきなとりは
ぼくが めをはなしたすきに 
したにおちてしまったのかもしれない。
どうろにおちて しんでしまったのかも しれない。



そのよる ぼくは あのおおきなとりのために
おいのりをした。

あのおおきなとりが また そらを とべますように。
かみさま、おねがいです。



とおくのおやま
ちいさいそら
きのえだ かぜ
ことり
からす
かたちのないくも


とおくにみえるのは

あの おおきなとりだ。

おおきなとりが くるり くるり
ぼくのちいさいそらから 
はみださにようにして
かぜのうえをすべっていた。

わかってるって。
ぼくも もうすぐ そこへ いくからね。
そうしたら きっと ぼくたちは
とりごも にんげんごも わからなくっても
おはなしができるはずさ きっと。

(完)  




















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